こんにちは。映画「グリーンブック」を見てきたので忘れないうちに感想を述べておこうと思います。
前評判が良かったので、ハードルが上がっていましたが、見終わって思ったのは、
すごい脚本が上手い。細かいところを拾ってきている。2時間以上あるのに途中で集中力が途絶えることなく興味深く見れた。やはりぜんぜん違う2人が友情を育んでいく物語は好きだーバディ好きー! ケンタッキーフライドチキンが無性に食べたくなるけど、裏に秘められた意味を知ると無邪気にお腹減ったーケンタ食べたい! って思っていのかちょっと戸惑う。食べるけど!
です。
見終わってからケンタ食べました。
ではネタバレありで感想を述べていきます。
ネタバレありなのでまだ見ていない方は注意してください。
あ、私が見たのは字幕版です。最初にどどーんと字幕「戸田奈津子」って出てました。
少し身構えましたが、訳文で戸惑うところはそんなになかったように思います。
おじ貴、ボインとかにちょっと笑いましたけどね。
映画「グリーンブック」を見てきた感想と少しの考察
映画「グリーンブック」を見てきたのでつっこみ感想です。
私の事前情報としては、
- 人種差別が扱われているらしい
- 白人がドライバー&マネージャーみたいなので黒人がピアニスト?
- 旅の中で友情が育まれるらしい
- フライドチキンに意味あり
- アカデミー賞取ったんだっけ?
くらいです。
フライドチキンと黒人差別に密接な関係があるんだよってつぶやきをたしか見たんですよね。
事前情報として知っておいてよかったなって思いました。
じゃないとただ笑って終わってしまったように思います。
フライドチキンを食べたくなるけどなんか罪悪感もある
フライドチキンがとても印象的に出てきます。めっちゃ美味しそうなんだけどその脂でべとべとな手で触らないで! って気持ちになります。
ケンタッキーのチキンは新鮮!
トニーがケンタッキー州に入ってテンションがあがってもちろんケンタッキーフライドチキンを買って「これまで食べたケンタッキーフライドチキンの中で最高!やっぱりケンタッキーのフライドチキンは新鮮だね!」みたいなことを言っています。
バケツで買ったのでケンタッキーフライドチキンをドクにお裾分けしようとするのが楽しかったです。
そこで出てくる黒人ならケンタッキーが好きだろうと言われる云々というところが差別表現として後にも出てくるのですが知らないとただ笑ってすましてしまう場面でした。
「イタリア人はピザとスパゲッティばっかりパスタばっかり食べてる」って言われても俺は気にしないぜ!みたいなことを言っていましたが、歴史的背景を考えると同じにしていいのかどうかというところがありますね。
ただ衛生的な問題があると言いつつもお上品にちまちまとチキンを食べているドクはすごく可愛かったです。また、ふたつめを渡された時に素直に受け取ったのも可愛かった
最初のチキンを渡す時に「俺は10時と2時にハンドルを持たなきゃいけないんだ」って言ってたのがその前に「ハンドルは10時と2時に持て!」とドクに言われていたのの伏線回収になっていて皆クスッと笑っていました
骨は投げるがカップは拾う
あともう一つ劇場でみんながクスッと笑っていたのがゴミ捨ての場面です。
食べ終わったフライドチキンの骨はどうするんだ?とドクに問われた場面で、こうするのさとトニーが車のドアを開けてポイっと捨てています。
最初戸惑った顔のドクターもトニーのやるように骨をぽいっとする場面ですごく笑えました。
その後トニーが飲み終わった飲み物のカップもポイしてた時に驚愕した顔になっていたドクターもすごく可愛かったです。
そして車がバックして捨てたカップを取りに戻るところで場内が笑いに満ちました。
確か「リスが食べる」みたいなことを言っていたような気がするんですが、さすがにカップは食わねえだろうと思いました。
おもてなしにフライドチキン
その後演奏会場にたどり着いてそこで提供されるディナーにフライドチキンが山盛りで出てくる場面があるのですがあの場面をどう受け取っていいのか少し戸惑いました
ものすごく素直に好意的に受け取るのであれば、黒人ピアニスト大歓迎したく真剣にメニューを考えて喜んでもらえるだろうメニューを選択しただけと取ることもできます
ただフライドチキンと黒人との関わりその背景を理解した上で出すのであればそれはかなりな差別意識の表れでもあり理解していなかったとしてもそれはそれで微妙だなと思うのです。好意からだから始末に負えない無意識に染み付いた差別意識がひょいっと顔を出している、といいますか。
またこの場面を理解するのを難解にしているのがトニーのとった親指を立ててグッドを表すあの仕草です。
この意味をどう受け取っていいのかにすごく戸惑いました。
またフライドチキンが出てきたぜイェーイみたいな意味なのか、
フライドチキンを食べる練習しておいて良かったじゃねえかみたいな意味なのか。
この映画見るととてもフライドチキンを食べたくなるのですが単純に美味しそうだなと思っていいのかなという気持ちになるのが微妙なところです。
ただ実際見るとお腹が減ったので見終わった後フラケンタッキーフライドチキンに行ってチキンを食べましたとても美味しかったです
骨はポイ捨てしませんけどね。
黒人に対する差別描写
テーマとして扱われているのでそこここに黒人に対する差別描写は出てきます
また主人公であるトニーが持っている差別意識が、この旅を通してどう変わっていくかというのも見所です
一番最初家に着ていた黒人労働者を黒ナスと呼びそんな人たちが口を付けたコップを捨てたトニーが、最後家族違うな親戚に向かって黒ナスなんて呼ぶなと言うシーンはとても良かったです。
黒ナスについて
黒人に対する差別的呼称として「黒ナス」ってのが出てきます。
これで出る度に私が思っていたのは、
なんで黒ってつけるの?
です。多分英語だと「Eggplant」って言ってるんだと思うのですが、字幕では黒ナスなんですよね。
今は品種改良されて黒っぽいあのナスだけじゃなくて緑のナスとか白いナスがあるからかしら?ってサカタのタネのカタログを思い出しながら見ていました。
ナスだけでいいじゃん!って出てくる度に思っていたのです。
黒とつけることで差別的意味合いがあるってことを表しているのだと思うのですが、なんかひっかりました。
で、ちょい調べてみたら「ナスの原種は白かった、だから卵みたいだったからそこから名前がついた」って出てきて、えっ!!ってなりました。
ナスがもともと白かったなんてびっくりです。っていうかだとすると黒人への蔑称には向いてないですね。
ボロゴミピアノ
トニーがドクに雇われる時に「会場についたらピアノがスタインウェイなことを確認すること、毎晩カティーサークを1本用意すること」って言われていました。
ウィスキーを一晩に1本も開けるのかよ!?トニーじゃなくても飲むの手伝おうか?って言うよ!って思いました。
っと、ピアノの確認はやはり重要だったようで、行った先で用意されていたのがスタインウェイではないボロちいピアノでその上にはゴミが乗っていたりします。
「黒人はどんなピアノでも弾く」でしたっけ?
トニーが劇場関係者を殴って替えさせていました。
問題解決能力(腕力)発揮ですね。
ここでちょっと気になったのがトリオの残りの2人なんですけど、ピアノがあきらかにボロくてもゴミが乗ってても放置なんだなーって思いました。
トイレ
トイレ問題を見た時は、
これ予習したことあるぞ!
って思いました。
ドリームを見たからですね。
ドリームも同じくらいの年代の黒人差別を扱った映画です。
どれだけ差別しようとも認めざるをえない才能はあるんだなって思った話でもあります。
ドリームには「おしっこの色は同じだ!」って上司が「白人専用」と書かれたトイレ看板を叩き壊すシーンがあります。
ドクをゲストとして招待しておきながら、トイレは外にある掘っ立て小屋のようなものを使えという招待主。
「普通のトイレが使えないのであればモーテルまで戻る、そうなると20分はかかりますよ?」
とドクが言うと「じゃあそうしてくれ」と答えが返ってくる。
ドクのピアノをありがたがり拍手はするが、同じトイレは使えない。
トニーは俺なら廊下で立ちションしてやる!と言っていたような気がします。
トリオの人は「やるなよ!?」って言ってましたね。
試着はできない
街を歩いていてウインドウに飾られたスーツが気になったドク。
トニーにも似合いそうだって言われて試着しようと店に入るが試着を断られるシーン。
店の人が言っていたけど「買うならサイズ直しはする。けど、試着は困る」んですよね。
これに冒頭のシーンがフラッシュバックするわけです。
家に来た黒人が使ったコップを捨てたトニーのあの行動です。
一度黒人が袖を通したスーツは売り物にならない、そういう意識なのだと思います。
楽屋は物置
長い旅も最後のステージを残すのみになります。
ここでの演奏を終えればラスト。その州は黒人にとって因縁の場所でもありました。
6年前?くらいにここで袋叩きにあった黒人がいたことをトリオの1人のロシア人がトニーに話します。
ついでにクリスマス休戦ってことでお酒をトニーと乾杯したりするわけですが、あそこでダンケシェーンってまだドイツ人だと思っているトニーでしたね。
その会場で用意されていたドクの楽屋はどうみても物置です。
車はVIP用に回せって言っていたのに、楽屋は物置。なんなんでしょうね。この扱い。
レストランは使えない
その会場のレストランで食事をとろうとするドク。
困りますと止めるボーイ。
トニーが出てきて、今日の出演者だぜ?って言っても伝統だからルールだからの一点張り。
支配人っぽい人が出てきても一緒。
「ここで食事ができなければ演奏しない」とまで言っても断られ、トニーを買収しようとまでする。
そこでドクが言った「君が言うなら演奏する」って言葉に私は泣きそうになりました。
それに「さっさと出ていこうぜ」って応えるトニーが好きだー!
翡翠のお守り石
見ていて翡翠の石のやりとりが心に残りました。
ドライブイン?みたいなところで外に並べられている石のカゴからこぼれ落ちたのだろう翡翠の石をトニーがポッケないないするわけです。
まあ、「盗ったわけではない、落ちていた石を拾っただけ」というトニーの主張はとても微妙だけれどギリギリのところで彼なりに筋は通しているのだと思います。
これがカゴにあった石ならトニーは取らない。デタラメは言うけど嘘はつかない。
返せと怒られる
その石をポッケないないしたところをトリオのロシアの人に見られてドクに告げ口されます。
ってことで、ドクに怒られるわけですね。
「欲しいなら買ってあげる」とか言われていたけど「それじゃあ意味がない」みたいなことを言っていました。
ここ一応伏線で、後から出てくるんですが、返したふりはしたけど実際はトニーこの石を返してないんですよね。
写真?を立てるのに出てくる
物語が進んでいくと、トニーがホテルの部屋で写真か手紙かなんかを立てるのに緑の石を使ってる場面が出てきます。
ここで、
あれ?あの石返してなかったの?
ってなるわけです。
お守り石を出せと言われる
ラストのラスト、クリスマス寒波に襲われて雪で前も見えない危機的状況で、ドグが言い出すわけです。
「あのお守り石を出せ」って。
幸運の石があればこの困難が乗り越えられるはずだから出せって、
言われてトニーが石を出して車のダッシュボードの真ん中に置くわけです。
ってことは、あの時ちゃんと石を返してないことをドクは知ってたの?知ってたのに見逃したの?
翡翠を持ち帰るドク
その翡翠は最後ドクが自宅に持ち帰るんですよね。
ある意味2人の旅を見届けた石です。
だからか、なぜかすごく印象に残っています。
トニーの嘘とデタラメ
トニーの人物像がちょっとはちゃめちゃだけど情に厚くてよかったですね。
っていうか、トニーを演じてた人アラゴルンなんです!?
私ロード・オブ・ザ・リング見た時に「なんでこのアラゴルンって言う人いつでもどこにでもいるんだろう?」って思った記憶があります。まあファラミアとかボロミアとの見分けができなかっただけなんですけど。馳夫ですよね。懐かしい!
このお腹の中年太りの貫禄すげーなって思いながらみました。がんばって太ってくれたみたいですね。
嘘は言わない、デタラメを言うだけ。
クラブの用心棒的なことをしていて、けっこうギリギリな職業で手も早いけど、本当にやばいことはやらない系の人なんだなって思いました。
「嘘は言わない、デタラメを言うだけだ」みたいなことを言ったり、契約は守る的なことは何度も言っていましたね。
トニーの中でやっていいこととやってはいけないとは明確に区別されているように思います。
リップの意味
トニー・リップというのは自称で、本名はバレロンガ?でしたっけ?
最初ドクターの面接の時に、召使に「トニー・リップという方はいません、トニーでいるのはバレロンガです」って言われて「ああ、それそれ、本名だ」みたいに言っていた時は、
ほんとに?口からでまかせ言ってるのでは?
って思っていたらちゃんと本名でした。
リップっていうのは唇って意味だから、口先三寸で世の中渡ってる感じ、なんですかね。
紹介するのに「リップ」だとちょっと問題がある、本名だと読みづらいから「バレ」でどうだ?って言われているシーンがありました。
冒頭の帽子
私人の顔が覚えられないので、特に外国の方の顔の見分けがつかないので確証がないのですが、最初の方で「母がくれた帽子だから死守しろ」って言われた帽子を受付の女の人にお金を渡してちょろましたのってトニーであってます?
そしてその帽子を使って偉い人っぽい人にコネを作ってましたよね。
でもあれ、受付の女の人が一発で誰に帽子を渡したかバラすと思うんですよね。
あれが成立するには、こそっと帽子を抜き取らないとだめじゃない?
銃を持ってた
ドクが一人で?バーに飲みに行って暴行を受けるシーンで、助けに行ったトニーは後ろ手で今にも銃を出しそうな素振りを見せます。
結局銃を出したのはバーの店主だったわけで、その時は銃なんて持ってないって言ってたトニー。
でも最後の街で黒人のバーに行った時にドクが札束見せちゃったから目の色変わってた店の黒人がいて、これは一悶着あるのかなって思っていたら、店からの帰りに車の前でいきなりトニーが銃を空に二発撃ってびっくりしました。
やっぱり持ってたんじゃん!!
まあ、黒人を連れて南部に行くってなった時点でいろいろ準備はしちゃうかな。
ティッツバーグは普通の街
ところどころでこう細かい伏線を回収していましたね。
ピッツバーグはティッツバーグっていうのを多分ちょっと期待してのでしょう。
ボインって言葉を久しぶりにみました。でもあの時代だしなんか合ってましたね。ボイン。
子どもたちにキスを
トニーは奥さんと約束したので、暇があるとせっせと手紙を書いています。すごいぞ、まめだ!
最初の手紙に書いてあったのはドクに対する認識が変わったってことでしたね。ドクのピアノを聞いてその才能に惚れ込んだんだなって伝わってくる手紙でした。
親愛なるを鹿って書くくらい綴りとかは覚えてないトニー。あまりにひどいので途中からドクが手紙に口を出します。
どれだけドクに手紙を添削してもらっても、追伸はいつも同じ。
そこがトニーの良いところだと思います。
子どもたちにキスを。いいですね。
てか、子どもたち可愛かった。特に下の子が可愛いなーって思っていたら、実在のモデルの下の子どもが脚本に関わっていたのですね。自分を美化しすぎでは!?って思いました。
ドクの孤独
ドクのキャラクターがどこからどう見ても孤独に満ちていて、どこにも属せない感がすごかったです。
黒人でありながら黒人としての生活はしていなくて、教育教養はきっちり、しかし白人から見たら黒人としてしか扱われない。
ピアニストとしては天才。その他博士号を3つ取るくらいにはいろいろ天才。
でもジーニアスだけではどうにもならないことがある。
カーネギーホールの上に住んでいるドクター
ドクターが運転手を探していると聞いてトニーが向かった住所にあったのはカーネギーホール。
ドクターはカーネギーホールの上に住んでいて、もうめっちゃ豪華なお部屋で王様みたいな服を着て出て来る。びっくりするほどなんか豪華。
象牙が飾ってあったりする。ドクターっていうから医者だと思っていたけど医者じゃなくて音楽家だという。
黒人だけど大金持ちで上質なものに囲まれ、かしずかれる立場です。
天才ピアニスト
ドクター・シャーリーは天才ピアニストです。
母にピアノを習って協会などで弾いているうちに才能を認められてロシア?かなんかで本格的に音楽教育を受けて才能を開花させた感じでした。
その演奏を聞いたトニーが一発で「あいつは天才だ!」ってなるくらい天才です。
ホワイトハウスで2回演奏したことがあるというのも伏線になっていましたね。
ケネディに電話して便宜を図ってもらっていました。そういうコネを使うのはドクにとってかなり悔しい行為だったようですけど。
北部であれば、南部でツアーをするよりもギャラは3倍以上もらえてチヤホヤしてもらえるとトリオの人が言っていました。
それでもなお、南部でツアーをすることを決め、突き進む。差別され不当な扱いを受けようとぎりぎりまで我慢し、尊厳に関わることには逆らいつつ品位だけを持って戦う彼の姿を私たちはずっとトニーと共に見ることになります。
行く先々での出来事、その出来事の後で演奏される曲にその時のドクの気持ちがこもっているように感じます。
インテリ
ドクがドクターって言われてるのは博士号を持っているから、なんですよね。
心理学的なやつと、なんだか祭礼なんちゃらって言ってたやつと、あともう一つ。全部で3つも持っていたように思います。
所作もいちいち上品で、話す言葉も丁寧です。トニーに前を向くように言う時も命令形ではなくお願い系で言っていたっぽいですね。
そして、イタリア語もロシア語もできるのです。
ロシア語はロシアで教育を受けたのでそりゃあ話せるだろうって感じでしたが、トニーが旅先でイタリア系友人と出会って話していた内容を聞いていたよって、トニーにイタリア語で話しかけるところでイタリア語もばっちりわかることが判明します。
トニーが友人にもっと稼げる良い仕事に誘われていたので、トニーに「正式にマネージャーとして雇う。給料ももっと出す」って引き止め工作にかかります。
てか、今までの旅で築いていたトニーとの関係をドクは信じきれてはいないのだなって思います。
見てるこっちは「もうトニーはそんな誘いには乗らないよ」って思うのですが、ドクはそうは思っていない。ドクは頭はいいけど賢くないぞ!って思いました。
殴られることは日常なのか
バーでボコられたり、警官にボコられたり、何回かドクの顔がやばいことになっています。
トニーになんか顔のあざを隠すもの買ってくるか?とか言われていましたが必要ないとドクが言っていました。
必要なかった理由は、あざ隠しのファンデーションは持っていたから、でしたね。
いつも持っているくらい殴られるのは日常である、ということなのでしょうか。
同性愛者?
途中、ううん?って思った箇所があったのです。
なんかトニーが警察に呼ばれていったら、裸で勾留されてた場面ですね。
裸で白人男性と共に勾留されていたわけですが、そこでなんか「おばさん」って単語がでてました。
最初よくわかってなくて、
兄の他にここらに関係が複雑なおばさんがいて会いに行ったりしてトラブルに巻き込まれた系?
って思ったんですが違いますよね。
その後の「トニーにはこのことを知られたくなかった。」とかトニーの「俺はクラブにいたから知ってる。いろいろあるよな」みたいな言葉から察するにドクは同性愛者であった、ということでしょうか?
あれ?でも結婚してて失敗した話もしてましたね。ってことはバイなのかな?
とにかくそうなるとマイノリティ過ぎます。黒人だけど黒人にも白人にも受け入れられない立場でさらに同性愛者であの時代。それはどれくらいの孤独であることか。
でもちょっと待って、ドクが同性愛者設定だとすると最後のトニーの妻に言ったセリフかなり意味深になりませんか?
最後運転してくれた!
クリスマにニューヨークにたどり着きたいけどクリスマス大寒波で道がすごくて、運転に疲れ果てたトニーがもう無理だ!ってなりました。
あー間に合わないのかなぁ、このままじゃ事故っちゃうよねって思っていたら、びっくりすることにドクが運転してニューヨークまで帰ってくれるんですよね。
えっ!?ドク運転できたんだ!?免許持ってたの?
って思いました。運転できたとしてもかなりペーパーくさいのですが、あの豪雪の中運転できたってドクすごい!さすが天才!
クリスマスに一人じゃない
クリスマスにトニーを家族の元に送り届けて、ドクは自宅に戻り、召使にも早く帰るように言いつける。
そして緑の翡翠の石をころがすわけです。
このままドクが一人でクリスマスをすごしてしまうのか、それとも疎遠になっていた兄に何かアクションを起こして終わるのか、それとも?と期待しました。
そしたらトニーの家に人が来るわけですよ、
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
って思うじゃないですか。来たのは質屋の夫婦だったのでがっかりです。
そう言えばトニーは時計を質に入れていましたね。50ドルで質入れ、出すには60ドル必要だと言われいていて、親戚に質出しを頼んでいたら75ドルだったと言われていました。手数料で15ドルも取る気だったんかい!親戚あくどいぞ!
ちなみにあの時代の50ドルって1ドル360円時代だから18,000円ですよね。
1962年のサラリーマン月給が22,894円だったようなのでかなり良い時計だったんですね。
っと、その質屋の夫婦を招き入れた直後、ドクが扉の外にワイン?を持って立っていました。
上手いですよね、一回落としておいて、がっかりさせておいてから、真打ちが来るわけです。
やったー!ドクが一人のクリスマスじゃなくなったー!ってテンション瀑上がりです。
奥さんの「手紙をありがとう」ってセリフで、
バレてたー!!でも、そりゃそうか!
ってにっこりですよ。よかった。気持ちが良い終わりでした。
トリオの人たちの立ち位置
見ていてちょっとわからなかったのがトリオの2人の立ち位置です。
3人でトリオなんだから本来なら3人で移動すればいいんですよね。
でもそうじゃない。黒人であるドクと共に南部を移動することの意味を多分このトリオの2人はよく知っているのでしょう。
音楽的には仲間だけど、真の意味でドクに心を開いていない、ビジネスライクなつきあいなのでしょうか?
ドクの信念については敬意をもっているけれど、助けることはしない。って感じですかね。
ボロピアノが用意されていた時にも目に入っていないはずはないのに何もしていませんでした。
もうちょっと何かこうこの人達のエピソードあってもよかったように思うのですが、不思議な立ち位置でした。
グリーンブックの意味
タイトルの「グリーンブック」は黒人が南部で泊まれる宿や使えるガソリンスタンドやレストランなどを記したガイドブックのことのようです。
南部では何もかもが白人用と黒人用で別れているし、州によっては黒人が夜に外出しているだけで罪になる。
黒人が旅をするためには必須の書であったようです。
ドクとトニーが旅をするために必要な本ではありましたが、映画タイトルになるほど出てきたかといわれると私はそこまでかな?って印象です。
もっと良いタイトルあったのかもしれないなって思うけどじゃあなんだって言われるとと悩みますね。
最初のタイトルは「ドロレスへのラブレター」だったようですが、このタイトルもどうでしょう?
タイトルって難しいですね。
警察の態度
最後の警官の出方もよかったですね。
賄賂で懐柔される警官とか、夜に出歩いてただけで土砂降りの中車外に出ろと言って差別的発言をする警官の後だったので、クリスマスに間に合うように急いでいる車を呼び止めた警官に、見ていて警戒することになります。
夜だし、また警官に絡まれて勾留されてクリスマスに間に合わなくなるの?って思うわけです。
そしたら、
「車が傾いているからパンクしているんじゃないか」って教えてくれるんですよ。
そしてタイヤ交換の間交通整理もしてくれる。考えてみると普通にお仕事してくれてるだけなんですけどそれがすごく嬉しい。
そして、最後に「メリークリスマス」って声をかけてくれる。
ごくごく普通に人として扱ってもらえるって良いことだなぁと思います。
そして、今までの経験から警察に偏見を持って見ていたんだなってことにも気づきます。
グリーンブックは時間を感じさせないいい話
映画「グリーンブック」は2時間10分くらいのけっこう長い映画です。
でも私は見ていて眠たくなることはありませんでした。脚本が上手くて飽きさせないんですよね。細かい伏線がはられていて、ちょこちょこ回収してくれるので随所でくすっとなります。
あまりに細かく伏線がちらばっているので覚えて無くて後から、あれ?あそこはああいう意味だった?ってなるところもありました。
人種差別という重いテーマを扱っていますが、トニーのキャラクターもあって見た後の気持ちは晴れやかなものが残ります。そして、ちゃんとその後いろいろ考えてしまう映画です。
私は以前ドリームという映画を見ていたので、
その映画も思い出しつつ楽しく鑑賞しました。
ドクが差別を受ける描写はつらいですが、本当はこんなものではなかったのだろうなとも思います。
見てよかったなと思える映画です。私は字幕で見たのですが、吹き替えの評判もよいので吹き替えでも見てみないなと思いました。